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2020.05.11

正しい補聴器選び ♯7「難聴とは?」

耳の構造と働き

 

私たちは音をどのようにして聞いているのでしょうか。聞こえの仕組みがわかれば難聴のことをより深く理解できます。

 

① 外耳は方向感と高い音の聞き取りをよくしています

 

私たちが普段「耳」と呼んでいる部分を「耳介」(じかい)、耳の穴を「外耳道」(がいじどう)と呼びます。外耳は耳介と外耳道から成っています。耳介は顔の横から飛び出ているため、音を外耳道へ効率的に集めることができます。さらに耳が立っていることで、後ろからよりも前からの音のほうがよく聞こえます。これにより、後方からの雑音に邪魔されず正面からの音が聞きやすくなります。耳介が複雑な形状のため片耳だけでも少しは方向感が得ることができます。外耳道の深さは2.5cmから3cmで突き当たりに「鼓膜」があります。鼓膜は半透明の乳白色の薄い膜で、音に対応して振動します。外耳道は音を鼓膜に伝えるほか、言葉の聞き取りに重要な高音域の音を共鳴作用で大きく聞きやすくしています。

 

 

 

 

② 中耳は空気の振動を内耳に液体の波として伝えます

 

「中耳」(ちゅうじ)とは、鼓膜の奥の部分です。そこには、ツチ骨、キヌタ骨、アブミ骨と呼ばれる、人体の中でもっとも小さな3つの骨があります。そして中耳は太鼓のように空洞になっていて、中には空気が入っています。中と外が空気なので鼓膜は振動できるのです。この中耳の空気はどこから入るかというと耳管という細い管を経て出入りしています。耳管は鼻の裏に開口部があり、普段は閉じていますが、食べたりつばを飲んだりするときに開いて中耳の気圧を調整しています。山に登ると耳がポーンとなったり飛行機内で耳が痛くなったりするのは、大気圧と中耳の気圧に差が生じて鼓膜が押し込まれたり引っ張られたりするためです。外からはいってきた音は薄い膜である鼓膜を震わせます。その振動を、耳小骨がテコの働きで内耳に伝えます。内耳には液体が入っています。通常、空気中の音の振動は液体に当たると反射してしまい、ほんのわずかしか伝わりません。しかし中耳にある鼓膜と耳小骨の働きで空気の振動を効率よく液体に伝えることができます。

 

 

 

 

③ 内耳は波を電気的な信号に変えて神経から脳に伝えます

 

「内耳」(ないじ)の中の「蝸牛」(かぎゅう)と呼ばれる部分は、音を感じとるところです。蝸牛とはカタツムリのことで、ぐるぐると渦を巻いた形状が、カタツムリの殻に似ているところからこの名が付けられています。蝸牛の中にはリンパ液という液体が入っています。音が入ることでリンパ液に波が起き、この波をまるで毛のような突起のある「有毛細胞」(ゆうもうさいぼう)と呼ばれる特殊な感覚細胞が感じとります。有毛細胞は内側に1列、外側に3列あり、それぞれピアノの鍵盤のうように特定の音の高さに対応しています。入り口に近いところでは高い音を感じ、奥に行くにしたがって低い音を感じます。ある部分の有毛細胞が脱落すると、そこが担当していた高さの音の聞こえが悪くなります。このほかにも、内耳には体のバランスを感じる取る器官(三半規管など)もあります。音を感じる蝸牛とつながっているため、メニエール病など難聴と同時にめまいやふらつきが起こる病気もあります。

 

 

 

 

④ 有毛細胞は音を感じるセンサー

 

内耳には、前述の有毛細胞と呼ばれるてっぺんに突起がはえた細胞があります。この有毛細胞には内有毛細胞と外有毛細胞の2種類があり、それぞれで役割が異なります。内有毛細胞は、音によって引き起こされた液体(リンパ液)の波による基底板の振動を感じ取り、それを神経に伝えます。一方、外有毛細胞は音に反応して自ら伸びたり縮んだりすることで、より高感度に基底板の動きを制御します。この伸縮はとても早く、数マイクロ秒(1秒の100万分の1)で反応するといわれています。内耳では音の高さごとに反応する部位が決まったいるのですが、この外有毛細胞の能動的な働きによって音の感度を高めています。これによって小さな音色の違いを感じ取ることができるようになります。軽度・中等度の難聴は、主に外有毛細胞の障害により内耳の感度が悪くなることで起きます。高度・重度の難聴ではさらに内毛細胞の障害が起き、音を感じることができなくなるために、聞こえなくなってしまいます。

 

 

 

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